研究室のイベント
2020年11月24日
- 2020年度
2020年度第11回電制研ゼミ開催!
11/24の卒研の時間に,今年度の第11回電制研ゼミを行いました!
第11回目は井原君!今年度の書籍は電気学会・半導体電力変換システム調査専門委員会が編纂した「パワーエレクトロニクス回路」を元に資料を作成してくれました。
11回目の発表は共振型コンバータについて説明を行ってもらいました。共振型コンバータはスイッチング素子にインダクタ(L)及びキャパシタ(C)を接続させ,「直列共振」及び「並列共振」を生じさせます。回路の中には元々インダクタとキャパシタを有しているのですが,通常のDC-DCコンバータの設計であれば「エネルギー蓄積素子」や「平滑素子」という位置づけなのですが,意図的に共振動作を行わせることで,スイッチの電圧/電流波形が矩形波のような鋭い切り替わりをする波形から,正弦波を半波整流したような滑らかな波形に変化します。
このように波形が滑らかに変化することで,ターンオン/オフ時の電圧/電流波形の重なりが非常に小さくなるため,スイッチング損失が低減される上に,波形に含まれる高調波成分も低減されます。通常のスイッチング動作を「ハードスイッチング」というのに対し,共振動作によるスイッチング動作を「ソフトスイッチング」と言います。ソフトスイッチングは「ZVS:Zero Voltage Switching(ゼロ電圧スイッチング)」及び「ZCS:Zero Current Switching(ゼロ電流スイッチング)」に大別されます。その他にも,切り替わり時の傾きまでゼロにした「ZDS:Zero Derivative Switching(ゼロ傾きスイッチング)」や切り替わりの瞬間のみ共振動作を行う「部分共振」など非常に様々です。
ただし,共振周波数は負荷の状況に応じても変化してしまうため,追従させるためにスイッチング周波数を変更させて駆動させる方式が一般的です。そのため,「PWM:Pulse Width Modulation(パルス幅変調)」に対して「PFM:Pulse Frequency Modulation(パルス周波数変調)」と呼ばれる方式で駆動させます。しかし,負荷に対してスイッチング周波数を上げてしまえば,いくらソフトスイッチングと言えども損失は上昇してしまいますし,条件によっては共振外れを引き起こしてハードスイッチングとなることもあります。さらに,一般的に制御の応答性がPWM制御方式よりも遅いとされており,すべての回路に対してソフトスイッチングを用いることができるわけではないことは注意です。
しかし,ソフトスイッチング技術はIHクッキングヒーターや非接触給電(ワイヤレス給電)など,様々な分野で応用されており,今後も研究が続けられる分野となるでしょう。
久しぶりの発表ながらしっかりとまとめてくれました!お疲れ様!
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