研究室のイベント

2023年10月17日

  • 2023年度

2023年度第11回電制研ゼミ開催!

10/17の卒研の時間に,今年度の第11回電制研ゼミを行いました!

今年度のゼミのテーマは「電力工学」になります。電力工学は電験三種でも出題される重要な分野であり,新カリキュラムであるエレクトロニクスコースにおいても「電力技術」として科目を用意しております。

第11回目は牧野君!今年度は森北出版の「電気エネルギー工学 新装版 発電から送配電まで」を元に資料を作成してくれました。非常に広範囲に渡る範囲を1冊に体系的にまとめた良書です。

第11回目の発表は「配電&エネルギーの効率的供給と利用」についてでした。

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配電システムは東日本大震災の電力逼迫を契機に,再生可能エネルギーの導入が拡大しました。そのため,供給が大規模集中型から小型分散型へと変化するようになりました。需要家の近隣に配置される小規模発電設備全般の総称を分散型電源,小規模かつ様々な地域に分散しているエネルギーの総称を分散型エネルギーと言います。

分散型電源の利点としては,

  • 送電ロスが少ない
  • 熱電併給(コージェネレーション)などを行うと総合エネルギー効率が高い
  • 非常用電源として利用可能

分散型電源の課題点としては,

  • 太陽光や風力などは時間によって出力が変動するため,他の安定供給源が必要
  • 需要によって発電量を制御することはできないので,揚水発電の活用や出力制限が必要
  • 同期機の減少により生じる慣性問題

などがあります。ここで,発電機に用いる同期機は負荷が変動しても回転数(周波数)を維持する必要があります。日本の周波数は西日本と東日本で周波数は異なるものの,50/60Hzで一定とされています。ここで,同期電源は慣性力を保有(タービンと発電機がカップリング)し,同期化力で系統と結合(並列運転)しています。これらの力により,発電機の電圧と系統の交流電圧は等しくなります。

しかしながら,分散型電源の場合は太陽光発電などにより慣性力を有さず,系統の交流電圧波形を監視して系統に追従するようにインバータで電圧波形制御を行うため,同期化力を有していません。そのため,同期電源よりもインバータ電源が多くなった場合,慣性力の現象による周波数低下率が増大してしまう場合があります。周波数変化率が2Hz/secというFRT(Fault Ride Through)要件を超過してしまうと,再生可能エネルギーが連鎖的に脱落してしまいます。これによりさらに低下するとブラックアウトと呼ばれる現象まで発生してしまいます。

この問題を解決するために,パワーエレクトロニクス領域に置いては,インバータ制御により同期化力・慣性力を模擬するという仮想同期発電機(VSG:Virtual Synchronous Generator)に関する研究がされています。いずれは本研究室も取り組んでみたいですね!

 


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