研究室のイベント
2024年5月28日
- 2024年度
2024年度第04回電制研ゼミ開催!
5/28の卒研の時間に,今年度の第04回電制研ゼミを行いました!
今年度のゼミのテーマは「半導体工学」になります。本校も新カリキュラムにおいて半導体ならびに電気電子材料関連の科目の増強をしており,本研究室としても取り組むべきと考えて今年度のテーマとしました。
第04回目は中嶋君!今年度は森北出版の「基礎電気工学(第2版)」を元に資料を作成してくれました。大学・高専の初学者向けの「電子工学」「半導体工学」のテキストになります。
第04回目の発表は「固体のエネルギー帯」についてでした。
第3回ゼミで説明したゾンマーフェルトのモデルでは,金属内に電子が1個だけ存在し,その電子の感じるポテンシャルエネルギーも場所によって変化せずに一定の値と仮定します。しかし,実際の固体中の電子は,固体を構成する膨大な数の原子の影響も受けるだけでなく,無数の電子からも相互に影響を及ぼし合うため,非常に複雑な状況の中で運動しています。
そのため,単独の原子中に存在する電子は特定のエネルギーを持つ軌道上を運動しますが,固体中の電子はエネルギー帯(エネルギーバンド)と呼ばれる,ある幅を持ったエネルギー領域で運動することとなります。とくに,半導体のエネルギー帯として有名なのは以下のものが挙げられます。
- 充満帯:エネルギー帯のうち,電子で満たされたもの
- 価電子帯:充満帯のうち,最もエネルギーが高いエネルギー帯
- 伝導帯:電子の存在しないエネルギー帯,電気伝導に寄与する
- 禁制帯:価電子帯と伝導帯の間の電子が存在できない箇所,別名:エネルギーギャップ・バンドギャップ
特に,このバンドギャップが大きい半導体のことをワイドバンドギャップ半導体といい,パワーエレクトロニクスで使用されるパワー半導体デバイスにおけるSiC(炭化シリコン:シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム:ガリウムナイトライド),そして近年話題のダイヤモンド半導体がこれに相当します。このバンドギャップが大きい材料の半導体は格子定数が低く,原子間の結合力が大きくなるため,絶縁破壊電界強度や熱伝導度が高くなります。すなわち,より高電圧・高温といった状況下においても用いることができるため,研究が盛んにおこなわれている半導体となります。
パワエレに繋がるところですので,しっかりと押さえておきたいですね。
【川上】
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