研究室のイベント

2024年7月23日

  • 2024年度

2024年度第09回電制研ゼミ開催!

7/23の卒研の時間に,今年度の第09回電制研ゼミを行いました!

今年度のゼミのテーマは「半導体工学」になります。本校も新カリキュラムにおいて半導体ならびに電気電子材料関連の科目の増強をしており,本研究室としても取り組むべきと考えて今年度のテーマとしました。

第09回目は鬼塚君!今年度は森北出版の「基礎電気工学(第2版)」を元に資料を作成してくれました。大学・高専の初学者向けの「電子工学」「半導体工学」のテキストになります。

第09回目の発表は「p-n接合(2)」についてでした。

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p-n接合デバイスの代表格であるダイオードの特性の一つとして,降伏(ブレークダウン)というものがあります。ダイオードの降伏として逆降伏電圧が挙げられます。本来,ダイオードは順方向(アノード→カソード)に電流が流れ,逆方向(カソード→アノード)には電流が流れません。そのため,順方向では導通,逆方向では開放として近似的にデバイスの動作を置き換えることが可能です。

しかしながら,逆方向に電圧を印加した際に逆方向に電流が流れてしまうという特性を持っており,これを降伏(ブレークダウン)といいます。そして,その降伏が生じる電圧を逆降伏電圧と呼びます。また,逆降伏電圧はさらにアバランシェ降伏ツェナー降伏に分けられます。

アバランシェとは雪崩の事であり,雪崩降伏とも呼びます。pn接合に逆方向電圧を印加すると微量に電子が流れます。この電子は空乏層中で電場により加速され大きな運動エネルギーを持ちます。この加速された電子が結晶格子を構成する原子に衝突すると,原子はイオン化して正孔となり,電子は伝導帯へ励起して自由電子となります。生成された自由電子も同様に加速され,雪崩的に電子・正孔対を生成し急激に増大します。この現象をアバランシェ降伏といい,デバイスの破損を招くため注意が必要です。

ツェナーは物理学者であるClarence Melvin Zenerの名前をもじったものであり,前述のアバランシェ降伏と同様にツェナー降伏が生じるほどの逆方向の電圧を印加した際に電流が流れます。しかし,ツェナー降伏がアバランシェ降伏と異なるのはトンネル効果とよばれる量子力学的現象によって生じているためです。「壁にボールを投げて,そのボールが壁をすり抜ける現象」とよく説明されます。この壁をすり抜ける現象をトンネル効果といい,古典力学では説明ができないため,量子力学で説明されます。

デバイスを詳しく理解するには量子力学にも精通していないといけないのがつらいところですね…。

【川上】 


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