Q&A

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1.コース名の「エネルギー機械」とは何ですか?
「エネルギー機械」と呼ばれる製品や技術分野の名称は一般的ではありませんが、コース名を英語で表記すると「Energy & Mechanics」コースとなりますので、「エネルギーと機械」を同等に重視して取り扱っているコースとお考えください。
機械を単に人間社会の利便性のために作るのではなく、そのエネルギー源の創出と利用、環境への排出と回収までを想定して、持続可能な技術社会の実現を目指したいと考えています。
2.プロダクトデザインコースも機械のイメージがありますが、違いは何ですか?
エネルギー機械コースとプロダクトデザインコースともに、たしかに機械工学系の専門分野に関連しますので、授業科目においても類似した内容のものがあります。
2年次には両コース共通で実施する実習(金属加工、CAD 設計)も用意されています。
両コースの違いは所属教員の専門分野で、プロダクトデザインコースは人が手にする身近な製品について使いやすさや感性に与える影響も含めて研究対象としているのに対して、エネルギー機械コースは社会を支える規模の大きい機械やインフラ設備、そして環境への影響を研究対象とする教員が多い傾向があります。その違いが卒業後の進路にまで影響するわけではありませんが、学生の皆さんにとっては、特に5 年次で指導教員の元で実施される卒業研究のテーマに深く関わってくると思います。
3.エネルギー機械コースを卒業すると、どのような進路がありますか?
エネルギー機械コースの開講科目は、機械工学系の専門科目を中心として構成されていますので、就職と進学共に、いわゆる機械工学系の高専卒業生に用意されている進路は提供できると考えています。
具体的には、輸送機械(自動車、鉄道、船舶)、公益事業(電力、ガス)、材料メーカー(金属、高分子、セラミックス)や、建設、農業、食品、製薬、半導体に関わる機械を取り扱う企業への就職が見込まれます。
これらの業界では、エネルギーの有効利用と環境の保護が常に課題となりますので、当コースではそのような観点で物事を解決する機会を積極的に用意し、即戦力となる人材を送り出したいと考えています。
4.金属加工や熱を帯びたモノを扱うイメージがありますが、危険な実験や実習はありますか?
金属を削る工作機械(旋盤、フライス盤など)や熱を帯びる機関を取り扱う実験や実習はたしかにありますが、これまで怪我をした学生はいませんので、授業での教員からの指示を守り、服装や体調管理に気をつけさえすれば、危険なことはありませんので安心してください。
もし、とがった物や炎などに恐怖を覚える場合は、近づかなくてもよいように配慮していますので、事前に相談してください。
授業担当者に直接伝えにくい場合でも、クラス担任や学生相談室に相談してもらえれば、必要に応じて授業担当者に情報が共有され対応できる体制になっています。
5.体力にあまり自信がないのですが、将来は現場で働くような就職先が多いのでしょうか?
就職先での業務内容は、企業や所属する部署、職種によって変わってきます。
エネルギー機械コースでは工場で工作機械を使ったり、大きな機械が動いている場所で実験を行う機会がたしかにありますが、すべての卒業生がそのような体力を求められる仕事に就くわけではありません。
むしろ、そのような現場を管理したり、必要な設備を新たに計画したり改善するという業務に就くことが多いと思われます。
工作や設備の運用の経験がなくては現場の管理はできませんし、アイデアがひらめいたらすぐに工場に行って簡単な物ならたちまち自分で作ってしまう高専生の器用さは企業の人から高く評価されていますので、そのような基本的な工作実習や実験の機会は大切にしていきたいと思っています。
6.他のコースと比べると、コンピュータやプログラミングを使う機会は少ないのでしょうか?
エネルギー機械コースの開講科目にプログラミング関連のものがないためそのような印象があるかもしれませんが、座学、実習、実験、卒業研究などでコンピュータやプログラミングを使用する機会は多くあります。
たとえば、機械の部品を3Dモデルで設計して組み立て、その強度や内外の熱と空気の流れをコンピュータ上でシミュレーションしたり、実験で得た顕微鏡画像から結晶や欠陥の状態を判別、あるいは動作している機械の熱画像をモニタリングして異常を特定する画像処理ツールをプログラミングで開発することもあります。
卒業研究でも実験データの解析や分析を行いますので、コンピュータを使わないケースはむしろ稀だと思われます。
7.クリーンエネルギーの創生について、イメージがわきません。具体的にどのようなことをするのでしょうか?
「クリーンエネルギーの創生」と聞くと、新しいエネルギー源の発見を目指すようなイメージを持たれるかもしれませんが、エネルギーを消費する機械の効率を良くすることにより、限りある資源を守り、環境への影響を軽減することも、クリーンエネルギーを創り出すことと同じであると考えられます。
機械の効率を良くする手段としては、より軽くて強い材料を使ったり、金属の部品を削って作るのではなく必要な分だけ粉末を繋げて作ったり、これまで無駄に排出されていた二酸化炭素を逆に活用するなどのエネルギー変換の仕組みを見直すことなどが挙げられます。
また、燃料電池などで利用される水素は化石燃料から得られるメタンガスなどを水蒸気改質して作ることができますが、より安価な褐炭を使ってコストを下げたり、ガスから水素を選択透過する膜の開発も必要です。さらに、化石燃料に頼らず水の電気分解反応で作られる「グリーン水素」を効率的に得るため、風力発電や水力発電で用いられるタービンの形状を工夫する研究も行われています。
8.どのような人がエネルギー機械コースに向いていますか?
エネルギー機械コースは機械工学をベースとしたカリキュラムを構成しており、機械はあらゆる分野で使用されますので、パワフルなエンジンに惹かれる人、車両や航空機の洗練されたデザインに憧れる人、都市開発の要となるビルの建設機械に携わりたい人、生活を豊かにする食品や化粧品の製造に携わりたい人など、卒業後の進路の面ではどのような希望を持っている人でもお勧めできると思います。
学習内容の面では、物理、特に力学が得意な人は理解しやすいかもしれませんが、苦手であっても、大がかりな設備を使った実験を通してグループで協力して学習し理解できる機会が多いため、克服できると思います。
したがって、何か夢がある人やそれを見つけたい人、モノを実際に見て、触って、体験することが好きな人に向いているコースだと言えます。